乳歯の一生 1

 やがて永久歯に生えかわってしまう乳歯は、寿命は長くありませんが、生えてくる永久歯の健康や歯並びに影響するその役割は大きいものです。乳歯が生まれてから、永久歯に生え変わるまでの「一生」を見てみましよう。
乳歯の一生
乳歯が実際に生えてくるのは、生後6ヶ月くらいですが、乳歯の芽(歯胚)は、妊娠中から作られています。最初の歯胚ができ始めるのは、妊娠6週目くらいからで、妊娠2~3ヶ月目くらいには全ての乳歯の歯胚が形成されます。4~6ヶ月ころには、石灰化が始まり、歯茎の下で生え出るのを待っています。
実際に生え始めるのは一般的には下の前歯(乳中切歯)からです。乳歯は、乳中切歯から奥に向かって、乳側切歯、乳犬歯、第一乳臼歯、第二乳臼歯と並んでいて、2歳半から3歳くらいまでに生えそろいます。全部で上下20本となります。

 乳歯は永久歯に比べて、エナメル質や象牙質が半分程度の厚さで、軟らかいのが特徴です。
 また再石灰化の力も弱く、さらに食べかすがたまりやすい、まだ歯磨きが十分にできない、などの要因も重なって、むし歯になりやすいです。 仕上げ磨きの習慣や、フッ素塗布、糖分の多いおやつはできるだけさけるなど、予防をこころがけましょう。
 その軟らかさはむし歯になりやすい一方で、顎の形成においては別の大切な役割をもちます。 顎の成長に合わせて歯がすり減って、かみ合わせを調節し、顎の形成を自然なかたちに導くのです。

 乳歯が生える場所は遺伝子で決まっているので、乳歯そのものが悪い歯並びになることはまずありません。永久歯は妊娠中の段階から乳歯の下に作られていて、やがて、その乳歯の根を道しるべにして永久歯が生えてきます。
 乳歯がむし歯などになり、歯根にまで達してしまうと、永久歯のエナメル質や象牙質が障害を受ける恐れがあります。さらに進んで抜歯してしまうようなことになれば、永久歯は目標を失って、正しい位置に生えることができません。永久歯が健康にきれいに並んで生えるためには、乳歯はとても重要なのです。

 次回コラムで、永久歯への生え変わりまでを書いていきます。