歯科医院へ行くタイミング
残念ながら「歯医者さんに行くのが大好き」という方は、あまりいらっしゃらないと思います。皆さんが歯医者に行く
「決心」をされるのは、多くの場合、お口のなかになんらかの問題が起きたときなのではないでしょうか。今回は歯科医院に行くタイミングについて考えてみます。
歯科分野以外の病気のなかには、お医者さんに診てもらわなくても、人間本来の持つ自然治癒力で治ってしまうものもあります。
風邪の症状が出たけれど、栄養をとって一晩ぐっすり眠ったらよくなった、などという経験がある方もいらっしゃると思います。もちろん安直な自己診断や自身の健康への過信は禁物ですが、すぐにお医者さんに診てもらうのはなく「少し様子を見る」という判断もこういったケースでは問題ないといえるかもしれません。
歯科の場合はどうでしょう。歯科分野の代表的な病気である
むし歯と歯周病では、「少し様子を見る」ことは良い判断とはいえません。なぜなら、「歯医者に行かなくては」と思い始める段階では、様子を見ていても良くなることはないからです。初期のむし歯や歯周病では、歯の再石灰化やブラッシングなどの口腔ケアで回復することも可能ですが、この初期段階では自覚症状はほとんどありません。
そして痛みや歯のグラつき、膿が出るなどの症状が出てから歯科医院に行く時点では、病気はかなり進んでいるということなのです。ですから、痛みやその他の自覚症状が出れば、すぐに歯科医院へ行ったほうが良いし、もう少し早い時期…水がしみる、歯の表面に変化がある(白く濁る、黒い穴、溝が黄変など)、歯茎の出血、といった
少しの異変に気づいたときに診てもらえば、治療期間も短く痛みも少なくてすみます。
自分でチェックして自覚症状がない初期の段階でむし歯や歯周病を見つけることは難しいかもしれません。
歯科医院の定期健診では、3ヶ月や6ヶ月に一度といった頻度で、専門家にお口のなかの状態をチェックしてもらえるので、
初期の段階での発見ができます。あわせて歯のクリーニングやブラッシングの指導を受け、お
口の中をよりよい状態に保つことができます。
歯科医院に行くタイミングが「悪くなったとき・痛くなったとき」の方、考えを少し変えて、歯科医院に行くのは「少しの異変に気づいたとき」にして、さらに一歩進んで「悪くなる前」(定期健診)に変えてみてはいかがでしょうか。