口の中のカビ ~カンジダ菌~
カビというと「気持ち悪い」とか「きたない」というイメージがどうしてもありますが、体やお口の中にもカビは存在します。悪名高き「水虫」はカビの仲間(白癬菌)だとご存じの方もいらっしゃると思います。お口の中でいうと、増殖するとやっかいなのが、今回の「カンジダ」菌です。
温暖多湿で栄養豊富なお口の中は、カビや細菌といった微生物にとって、とても住みやすい環境で、数百種類もの微生物が住みついています(
常在菌)。
ミュータンス菌、歯周病菌、連鎖球菌などとともにカンジダ菌も住みついていて、通常はお互いけん制しあい、特定の菌だけが増殖しないようにバランスを取っています。
しかし、なんらかの原因でカンジダ菌が異常増殖し、カンジダ症という病気になってしまうことがあります。症状は、粘膜の表面に
白い膜が点状や地図状に付着します。はがすと
赤く腫れたり、出血したりします。
舌の表面に腫れと萎縮が強くみられる場合や、ただれてしまうこともあります。
どんなときにカンジダ症にかかるのでしょうか。もともと抵抗力のあまり強くない高齢者や乳幼児が、なんらかの理由で
体力が低下しているとき、栄養失調症、糖尿病など、
からだを衰弱させる病気のとき、など注意が必要です。膠原病やHIV感染症など
免疫不全となる疾患、病気の治療のために、
抗生物質などを長期間使用しているときや、癌の放射線治療でも発症することがあります。また
入れ歯の手入れを怠り、不衛生にしているとそこに大量繁殖することがあります。唾液の分泌が減ってしまう
ドライマウスも唾液による殺菌力が低下するので、カンジダ症にかかりやすくなります。
治療には、抗真菌剤の入ったうがい薬、ぬり薬を使います。数日間、うがいやぬり薬を使用すれば、多くの場合治癒します。それでも回復しないときは、抗真菌剤の入った内服薬を服用することもあります。
予防としては、疲労やストレスを避け、健康を保ち、抵抗力を弱めないようにすること、歯みがき・うがいで、口の中の清掃をすること、特に入れ歯は清潔にし、寝るときは外しましょう。