歯が抜けたまま放っておくと

 現代の歯科治療では、歯を少しでも長持ちさせるために、できるだけ歯を削らない・抜かないという治療が主流になっています。しかし、虫歯が進行して手遅れになってしまって抜歯せざるを得ない、歯周病で歯が抜け落ちた、または事故で歯が根元から折れた、など歯を失ってしまうケースがあります。そんなとき、歯が抜けたまま放っておくとどうなるか…今回はそんなお話です。歯が抜けたまま放っておくと
 抜けた歯が前歯の場合は見た目の問題もあり、放置されることはあまりないようですが、奥歯の場合は「目立たないから」「一本ないけどそれほど不都合なく使えるし」といった感覚で、そのままにされることもあるようです。当初は違和感や不便を感じても、しばらくすると慣れてきます。抜けたすぐ後は気にしていても、時間とともに歯医者さんへの足が遠ざかってしまうのです。しかし、たとえ奥歯の一本でも抜けると様々な影響が出てくるのです。以下に列挙します。
・抜けた歯の上の歯は重力の影響などで抜いたスペースに下がってきます
・抜けた歯と噛み合っていた向い合う歯は、噛み合わせの相手がなくなるので、抜いてなくなったスペースを埋めるように伸びてきます。歯の周りの骨まで盛り上がってくることもあります。
・抜けた歯の両隣の歯は、支えがなくなり、歯がなくなったスペースに倒れるように傾いてしまいます。抜けたまま長い時間が経つと、さらにその隣の歯も同じように傾いてきます。
・噛み易いほうの歯でばかり噛むようになりがちなので、噛み合わせのバランスが崩れていきます
歯と歯の間のすき間が大きくなり、食べ物がつまったり、プラークがたまりやすくなり、虫歯や歯周病になりやすい口腔内環境になります。
・食べ物をしっかり噛めなくなった結果、消化器官に負担が掛かり、十分な栄養が摂れなくなります
・抜けた歯のスペースから息が漏れ、発音がしづらくなります

 噛み合わせ・むし歯・歯周病、さらに栄養摂取、発音といろいろな問題が出そうです。治療が遅れるとブリッジなど処置も難しくなります。時間をおかずに処置をすることが大切です。