早食いとエネルギー消費

以前のコラムにも書きましたが、今回は早食いについてです。以前の回では、早食いはからだにあまり良いものではない、という話を紹介しました。
具体的には、
1) 脳が満腹感を感じる前にたくさん食べてしまい過食→肥満につながる、
2) 噛む回数が少なくなるので、唾液の量が減って、お口の中の洗浄効果が十分でなくなり、虫歯や歯周病になりやすくなる、
3) 十分にかみ砕かれていない状態で食べ物が胃腸に送られるので内臓への負担が大きい、などという内容を書いています。今回は少し絞って、肥満とも関係するエネルギー消費と早食いの関係を見てみます。
早食いとエネルギー消費 1日の総エネルギー消費量のおもな内訳は、呼吸や体温など生きていくために最低限必要な生命活動に使われる「基礎代謝」、運動や家事などの日常生活活動で消費される「身体活動量」、食事中、食べ物を噛んだり、消化や吸収に使われる「食事誘発性熱産生」の3つからなっています。
ダイエットに関心を持たれたことがある方ならご存知だと思いますが、基礎代謝を大きくするためには、例えば筋肉をつければいいですし、身体活動量を増やすためにジョギングその他の運動に励むわけです。もうひとつの食事中に使われるエネルギー「食事誘発性熱産生」(DIT = Diet Induced Thermogenesis)は、誰もが同じように行う食べるという行為なので、個人差があまりなくダイエット法として取り上げられるということもあまりないようです。
しかし、最近の研究では、食事の摂り方で代謝量が変わってくることもわかってきました。そのなかで早食いについても調べた方がいます。食べ物をできるだけ早く食べるグループと、塊がなくなるまで噛んでから飲み込むグループとで食後90分間の DIT量の平均値 を比べたところ、早食いのグループが少なかったそうです。よくかんでゆっくり食べると胃や腸に流れる血液の量が増えるのですが、早食いではあまり増えないようで、このことと DITの値とに関係があるかもしれない という説が言われています。

 早食いを改める方法も補足しておきます。よく噛む、少しずつ食べる、ゆっくり食べる、などを前回挙げましたが、具体的には、スプーンより箸の方が一回に口に運ぶ量が少なくなる、骨付きの肉や魚は食べる速度が落ちる、噛んでいる間は箸をおくようにして、続けざまに食べない、などがよいようです。