食事がのどを通らない

 私たちが日々生活を送るなかで「食事がのどを通らない」という状況に陥ってしまうことがあります。その頻度や期間は人にとってさまざまだと思いますが、多くの人が経験があるのではないかと思います。「食事がのどを通らない」とはどういうことなのでしょうか。食事がのどを通らない
 痛くて食事がのどを通らない…かぜやインフルエンザなどによるのどの腫れ、口内炎、舌の炎症、扁桃腺の腫れなど食べ物の通り道に炎症が起きて通り道を狭くして、食べ物を飲み込みにくくします。
 うまく飲み込めなくて食事がのどを通らない…高齢者に増加している嚥下障害(えんげしょうがい)のため、食べ物が飲み込みにくくなります。脳血管障害(脳梗塞など)、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)、重症筋無力症などによって嚥下障害が起こります。
 食欲が出なくて食事がのどを通らない…食べ物の通り道の炎症や嚥下障害が見られないにも関わらず食事がのどを通らないときはこころの問題も考えられます。ストレスや過労、心労などから症状が現れます。太ってしまうことを気にして、食欲がなくなったり食べたものを吐いてしまう摂食障害もこころが原因といえるでしょう。ほかには、ホルモンのバランスが崩れる更年期障害によって、食欲がなくなることもあります。また、胃腸炎、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎といった消化器官の病気が原因で食欲が出なくなることもあります。
 口のなかが乾いて食事がのどを通らない…大切な取引先の接待や偉い人との会食など、どうしても緊張してしまう食事の機会では食事がのどを通らない、ということがあります。このときは緊張で唾液の分泌量が減ってしまい、口のなかが乾いた感じになり、食事がのどを通りにくくなります。一時的な緊張などで口が乾いてしまうのは緊張が解ければ元に戻りますが、慢性的に口が乾いた状態は「ドライマウス」と言われ、食事が摂りにくくなるだけでなく、口臭の原因にもなりますし、むし歯歯周病になりやすくなります。

 単に「食事がのどを通らない」といっても、いろいろな原因・症状があることがわかりました。次回コラムでもう少し掘り下げてみたいと思います。