おいしいを考える

今回は「おいしい」についてです。ヒトはどんなときにどのようにして「おいしい」と感じるのか、など書いてみたいと思います。

 モノを食べるときに私たちは、味、香り、歯ごたえ、見た目、食べたときの音 などを感じ取っています。
 甘いお菓子、だしのきいたお味噌汁、カレーの匂い、コーヒーの香り、プルプルのプリン、美しく盛りつけられた料理、可愛く彩られたスイーツ、せんべいをバリッとかじる音・・・ヒトそれぞれですが、こういったものに、おいしさや食欲を感じる方は多いと思われます。
 いわば、味覚、嗅覚、触覚、視覚、聴覚といった、五感を総動員して、食べものを味わっているのです。
 さらにそれらに加えて、食文化や食事環境といった経験や知識もおいしさを決める要素のようです。たとえば「関西人は納豆が苦手」「青空のもとで食事をするとおいしく感じる」「高級なレストランで雰囲気も一緒に味わう」などと言われることがあるのがその例です。

 おいしいと感じる仕組みは複雑なようですが、まずはそのなかの味覚についてみてみます。
 味覚では、甘味、塩味、旨味、酸味、苦味、の5つが基本味とされています。そのそれぞれは、体に必要な成分や、逆に摂ってはいけない成分だと知らせるシグナルの役割を持っています。
 甘味であれば、糖分=エネルギー源、塩味は体液のバランスを保つのに必要なミネラル、旨味はタンパク質・アミノ酸などからだを作る成分に含まれ、酸味は腐ったもの、苦味は毒のある食べ物にあって、危険を教えてくれるのです。
 からだに必要なもの、摂ってはいけないものを味で感じ分けられるようにこの五味が発達してきたのです。

 ですから、おいしいと感じる感覚の一つは、そのときのからだに必要なものを食べるときにうまれます。逆に、害があるとからだが認識している味のものを食べるとおいしくないという感覚が生じるのです。
 前者の例が「疲れているときの甘いもの」(糖分の補給)「ビールのつまみにはしょっぱいもの」(ビールはカリウムが多いのでナトリウム不足を感じる)、後者として、小さいお子さんは酢の物(酸味が強い)や、ピーマン(苦い)を嫌いな子が多い、などがあります。
 成長するとそれほど苦でなくなり、おいしいと思うようになるのは、経験を重ねて酢の物やピーマンは安全だとからだでわかってくるからだと考えられます。
 ここまで味覚について書きました、次回はその他の感覚についても考えてみます。