「口」のつくことわざ

以前のコラムで歯のつくことわざを紹介しましたが、「口」のつくことわざもいろいろあります。「口」がつくことわざは、食べ物などの「入り口」と捉えたものと、声を出し話をする「器官」としてとらえたものが多いようです。
まずは多少、美容や健康に関連しているものを紹介します。
良薬は口に苦し:よく効く薬が苦いように、身のためになる忠告は素直に受け入れにくいということ。
匙の先より口の先:診断や治療は下手だが、患者のご機嫌を取ることの上手な藪医者をあらわすたとえ。
目元千両口元万両:目元は千両、口元は万両に値するほど魅力的であるという、美人を形容する言葉。
病は口より入り禍(わざわい)は口より出づ:病気は口から入る食べ物や飲み物が原因で起こり、禍は口から出ることばが原因となって起こされることが多いということ。

食べることに関するものを挙げてみます。
口に入るものなら按摩の笛でも:意地きたなくて、なんでも食うことのたとえ。食い意地がはっていること。
一口物に頬を焼く:わずかな食物を食べて口の中をやけどする。ちょっとしたことに手を出して、思いがけない失敗をすることのたとえ。
食い物と念仏は一口ずつ:食事は、少しずつ規則的に食べるのが健康のためには良く、信心も、毎日忘れずに一回でも念仏を唱えるようにすべきだ、というおしえ。
開いた口へボタ餅:棚の下で寝転んでいたら牡丹餅が落ちてきて、ちょうど開いていた口に入ったことから、努力や苦労もなしに、思いがけない幸運が舞い込むことのたとえ。
敵の家でも口を濡らせ:たとえ、嫌いな相手の家に行って食べ物を出された場合でも、出されたものには口をつけなさい、 ということから、どんな場合であっても、礼儀を守りなさい、というおしえ。

声を出し話をする器官としての「口」についてのことわざも次回コラムで紹介します。