離乳食とお口と歯の成長

 子育てをするお父さんお母さんにとって、離乳食はお子さんの成長を感じられる楽しい瞬間でもあり、メニューの悩みやいつもに増して手間がかかるなど、苦労の多い時期でもあります。
しかしこの時期に正しい食べ方を身につけさせてあげることで、歯やお口まわりがより正しく機能するようになります。
 離乳食は、
・お子さんが大きくなるにつれ、エネルギーはもちろん鉄分などの栄養素が母乳だけでは不足となるためそれを補うこと、
・おっぱいを吸って母乳を得ることは本能的に知っている赤ちゃんに「食べ物をかんで呑み込む」という一連の動作を身につけさせること、
が目的です。
 離乳食を始めるタイミングは、赤ちゃんが教えてくれるとよく言われます。
赤ちゃんが、食べ物に興味を示す、よだれが増える、家族が食べていると口をもぐもぐ動かす、スプーンでお茶やお水をあげるとごっくんと飲み込める、などのしぐさが出てくるとその時期です。
まだ小さい間は、乳首のような突起物以外の固形物を口の中に入れると舌で押し出そうとする「舌突出反射」をしますが、この反射が少なくなってきてから離乳食を始めます。

 まずは10倍がゆや、やわらかい野菜、白身魚、豆腐などをなめらかにすり潰した状態にしたものから始めます。舌は最初は前後に動くだけですが、徐々に上下運動もできるようになってきます。
 食べ物をあげるときのスプーンは、カーブが浅く平らなものにしましょう。まだ唇を閉じる力が弱い赤ちゃんは、スプーンのくぼみが深いと食べにくいからです。
そしてスプーンを口から抜くときは、上に持ち上げないでまっすぐ抜いてください。「お口ぽかん」(口唇閉鎖不全症)になってしまうリスクがあり、歯並びにも影響が出ることもあります。

 やがて、舌の上下運動が上手になってきます。舌先を使って食べ物を取り込み、柔らかい粒を上あごに押しつぶして食べられるようになり、舌で食べ物をひとまとめにして飲み込むことができるようになります。この段階が中期です。
食べ物は2㎜から3㎜角のみじん切りのものを、舌でつぶせる柔らかさまで煮込んで作ります。舌でつぶせるとは、親指と人差し指で軽く力を入れたらつぶれる状態のことで、豆腐やプリンの固さくらいです。
つぶした食べ物をひとまとめにする動きを覚え始めるので、口の中でバラバラにならないようとろみをつけてあげるとよいでしょう。

 離乳後期~完了期については、次回コラムで書きたいと思います。